236997 | ・社会統合 ・男と女・性・婚姻 ・進化論 ・国家時代 | ||||||
日本人の忘れもの 〜 思いやりの行き交う国(1) | |||||||
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■ 国際派日本人養成講座 ■ 国柄探訪: 日本人の忘れもの 〜 思いやりの行き交う国 http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jog/jog_index_frame.htm より転載させてもらいます。 じんわりあたたかくなります(v v* ------------------------------------------------------------------- 思いやりに満ちた世界が、つい数十年前 までは日本のどこにでもあった。 ■1.定期券を拾ってくれた車掌さん 清水優子さん(51歳、東京都、主婦)は、小学1年の頃、当時東京都内を走っていた都電で通学していた。夏の初めの頃、のんびりと走る都電の窓から外を眺めていて、手に持っていた定期入れをうっかり落としてしまった。定期入れはひらひらと後方に飛んでいった。 __________ 悲しくなって、しくしくと泣き出した私に、セーラー服のお姉さんが声をかけてくれた。理由を話すと、すぐに車掌さんに言ってくれ、電車は停車。車掌さんは来た道を走って戻り、定期入れを拾ってきてくれた。 その間、乗客は口々に優しい声をかけてくれ、車掌さんが戻ると拍手がおこった。急ぐ方もいたでしょうに。恥ずかしくて、嬉しくて、申し訳なくて、私はただ泣いていたのだけど・・・。[1,p10]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ こんな心温まる、思いやりに満ちた世界が、つい数十年前までは日本のどこにでもあったのだ。 「探そう! ニッポン人の忘れもの」という呼びかけに賞金も賞品も出ないのに、2640もの作文が寄せられ、その一部が本になった[1]。これはそのうちの一つである。この本の中から、現代の日本人が忘れてしまったものを探してみたい。 ■2.お豆腐屋のおばあちゃん この本に出てくる逸話の中で、特に心に響くのは、子供たちに注がれる周囲の大人の思いやりである。 佐藤美由紀さん(42歳、宮城県、歯科衛生士)は幼稚園児だった頃のある日、夕飯の支度中のお母さんから、豆腐を買ってくるように頼まれた。いつもは6つ上のお姉ちゃんと一緒に行くのだが、この時は一人で豆腐屋さんに行った。右手に20円をしっかり握りしめて。 __________ 近所のおばちゃんたちに、「ひとりでおつかい? えらいね」と言われて嬉しかった。お豆腐屋さんの重いガラス戸をあける。 大きな桶の中に、お豆腐が入っていた。おばあちゃんに「一丁ください」と言うと、おばあちゃんは冷たい桶に手を入れて、お豆腐をきれいに切った。 手渡されたお豆腐の袋をしっかりと握って家に戻る途中、砂利道の石につまずいた。お豆腐はもちろんぐじゃぐじゃ。泣きながら家に向かって歩いていると、お豆腐屋のおばあちゃんが走ってきて、「はいよ。おつかい、頑張って」と言って、きれいなお豆腐を渡してくれた。 私は、恥ずかしくて、もっと泣いた。[1,p13]  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■3.「お馬の公園」のおじちゃんたち 山口好美さん(45歳、神奈川県、会社員)は、小さい頃、父親と手をつなぎ、散歩しながら、よく大井競馬場に連れて行って貰ったことを覚えている。 __________ 「お馬の公園でも行くか?」「うん!」 私は馬が見たいのではなく、「おでん」が目当てだった。「パパが戻るまでここにいるんだぞ。動いちゃダメだぞ」。そう言っていつも私におでんを1本持たせてくれた。場所は藤棚の下のベンチ。 おじちゃんたちが目の前を通りすぎて、「おっ、父ちゃん待ってんのか? えらいな」「動いちゃダメだぞ。迷子になるからな」。そう言いながら頭をなでてくれたりもした。今では考えられないが、皆が優しく見守ってくれている感じだった。 いつから人を疑う殺伐とした世の中になったのだろう。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 子供たちを「皆が優しく見守ってくれている」というのは、以上の3編に共通して言えることだろう。 そして、子供の時に大人たちから受けたちょっとした思いやりが、数十年後まで心に残っているという点が印象深い。こうした思いやりを注がれて育った子供は、また思いやりのある大人に育つだろう。 「子供は社会で育てる」というのは、こういう事だ。単に子ども手当をばらまくだけでは、子供たちに思いやりの心は育たない。 |
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