236998 ・社会統合 ・男と女・性・婚姻 ・進化論 ・国家時代 
日本人の忘れもの 〜 思いやりの行き交う国(2)
谷光美紀 30代 愛媛 経理 10/08/30 AM00
同じく、国柄探訪: 日本人の忘れもの 〜 思いやりの行き交う国 http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jog/jog_index_frame.htm
より転載させてもらいます☆

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■4.「ばっちゃん、ゆっくり渡んな」

 交差点は、 文字通り、人が行き交う場所。そこに人と人のふれあいが生まれる。

 小川雅美さん(61歳、神奈川県、主婦)は、年老いたお母さんと散歩や買い物に出かける。信号のない横断歩道脇に並んで立つと、たいていの車はすぐに停まってくれる。運転席に目を向けると、皆一様に優しいまなざしで、二人が無事に横断し終えるのを見守ってくれる。

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 その日停まってくれたのは、車高の低い車。暗い色の窓ガラスに秋の陽が反射しているせいか、運転手さんの表情が見えない。地響きのようなエンジン音を立てているし・・・怖い。

 私は急いで母を渡らせようと焦った。

 すると車の窓が開き、坊主頭の若者が顔をのぞかせて、
「ばっちゃん、ゆっくり渡んな」
と、ひと言。目を合わせると微笑んでくれた。

 安心して、私たちはありがたく、ゆっくりと道路を渡らせていただいた。[1,p35]
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■5.一礼した男の子

 武田美穂さん(30歳、鹿児島県、会社員)は、ある寒い朝、渋滞で少し焦りながら運転をしていた。左折しようとしたら、小学生の男の子が横断歩道を渡ってきた。

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 正直、心の中で「もう、急いでいるときなのに! 早く渡ってよ」とつぶやいていた。すると、渡り終えた男の子が、私の方を見て一礼したのである。

 その瞬間、私の中に忘れていた何かが帰ってきたような気がした。
 私が小学生だった当時も、同じことを当たり前のようにしていた。あの頃は、親や先生のような大人にそうするよう教えられたと思うが、それは自然と自分の身につき、習慣となっていた。

 どんなに学校に急いでいても、運転手の方に「止まってくれてありがとう」という意味を込めて、一礼をしていた。それが、人を思いやるということにつながっていたのだろう。[1,p65]
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 交差点で相手に道を譲っても、せいぜい数秒の差である。しかし、その数秒の思いやりから、相手の心には感謝が、自分の心には善いことをしたという心地よさが生まれる。


■6.争い合う社会になるか、譲り合う社会になるか

 交通マナーは地域内で伝染するものだ。同じような車で、同じような道を走っていても、ある地域では争い合い、ある地域では譲り合う。こんな事に、アメリカをあちこち車で旅行した時に気づいた。

 ロサンゼルスでは、高速で走っている時に、前の車両と数メートルの間隔しかないのに、突然、割り込まれてヒヤリとした。そんな他人の迷惑を顧みない乱暴なドライバーが多い。

 ところが中西部の田舎町などに行くと、運転マナーはがらりと変わる。たとえば4ウェイ・ストップという交差点があって、混んでいる時は、縦方向と横方向で互いに一台づつ順番に渡っていく。

 ある時、横からの一台が通りすぎたので、今度は私の番だと思ったら、横からもう一台の車が続いて渡ってしまった。すると、後部座席に座っていた娘さんたちが窓越しに、「エクスキューズ・アス(ご免なさい)」と声をかけてきた。運転している父親がついうっかり、譲るのを忘れたようだった。私も「気にしないで」と、笑顔で手をあげて応えた。

 隙を見ては割り込むようなドライバーが多いと、自然に自分もそうしなければ損をすると思うようになる。逆に、周囲が譲り合う運転をしていると、その快さを味わって、自ずと自分も思いやりのある運転をするようになる。

 争い合う社会になるか、譲り合う社会になるかは、ちょっとした心がけの違いから生まれてくるものだ。

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