98791 ・仕事・起業・共同体 
不全意識→必要意識の高い人材が核となる。
加来野浩史 32 福岡 経理 05/10/09 AM01
答えがだせないという問題の背後には、答えが出ないという状況がなぜ容認されてしまうのか、という問題がある。

その原因の一つに、残存する序列意識が考えられる。

私権活力は衰弱したにも関わらず、私権に代わる新たな統合原理=共認原理によって、組織体制のみならず成員の意識まで貫徹されていなければ、逃げ出したくなるような強力な闘争圧力が掛かった時など、つい慣れ親しんだ旧い意識に舞い戻ってしまいがちだ。

たとえサボるつもりではなくても、追求力や統合力を必要とする難度の高い課題に直面すると、部下は上司に対して「この人は自分よりも能力があるから答えをだしてくれるはず」と追求から一歩引いてしまったり、逆に上司は「自分は統合者なのだからとにかく結論をださないとダメだ」と強迫的に課題を捉えてしまうと、目先の方針や実現可能性のない方針にずり落ちてしまう。

なんだかうまくいっていないという感覚はあっても、「自分では無理」「こうするしかない」という不可能視が、改めて外圧を捉えなおす方向には向かわず、集団の活力を削いでいく。


では、その意識を突破する方法はあるのか。

組織では一般的に経験や役割に応じて、外圧に適応するための指揮系統が編成されるが、必ずしもトップが外圧を最先端で捉えているとは限らない。

リーダーやスタッフといった肩書きに関係なく、外圧に対してもっとも不全度の高い人、つまり「なにかおかしい、なんとかしたい」と強く感じている人材こそがカギを握るのではないだろうか。

不全感とは外圧に適応できていないという内識機能であり、外圧に対する突破口はその中にあると言える。答えを必要とする意識も、何とかしようとする活力も、その不全度に規定される。

たとえスタッフであっても、顧客の欠乏をダイレクトに受け止めたり組織体制の不具合などを強く実感することはできる。また顧客の中でも商品やサービスについて有用な提案をしてくれる人もいるはずだ。

ならば答えが出ないときほど、リーダーをはじめ周りの人間がするべきことは、その核となる人材の不全に対して皆で同化し、不全内容を構造化していくこと。そしてその人材が受け止めている外圧状況を捉えること。そうすることで前進感も生まれるし、(答えが出せない故に陥った)序列意識にも囚われなくなるのではないだろうか。

そういう人材をいかに発掘し協同していくかが、今後の課題の成否を分けるのだと思う。

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